見てるとなんだか惹き込まれる……魅惑のムーブメント装飾「コート・ド・ジュネーブ」とは?」

皆さんこんにちは。アストです。
今回は、見てるとなんだか引き込まれる…
魅惑のムーブメント装飾、本場ジューネーブの美しき伝統技法「コート・ド・ジュネーブ」
のお話です。
最近紹介した「サファイアガラス」の一般化や、自社のムーブメント製造力をアピールしようと言う流れに伴い、最近どんどんと一般化されていくシースルーバックケース。
そこから見えるムーブメントには、なんだか吸い込まれるような魅力がありますよね。
キラキラと光るプレート。
チクタクと時を刻むテンプと脱進機。
膨らんだり縮んだりする姿がまるで心臓のようなヒゲゼンマイ。
人によっては「ムーブメントの動きをつまみにワインが飲める」なんて人もいらっしゃいます。
きっと女性がジュエリーに感じる魅力も、こんな感じなのかもしれませんね。
その中でも、キラキラ光るプレートの秘密、「コート・ド・ジュネーブ」装飾についてお話ししましょう。
「コート・ド・ジュネーブ」装飾とは、ムーブメントのプレート上に施される、規則的に掘られた斜めの掘りのことです。
打ち寄せるさざ波をイメージしていると言われる装飾で、機械式ムーブメントのそのほとんどに施される、伝統的かつ基本中の基本です。
まるで本場スイスで古くから伝わる伝統の職人技のような言い方をしていますが、この装飾のルーツは、アメリカ時計産業でよく見られた「ダマスキン装飾」の一種だと言われています。
これがダマスキン装飾。
職人技が自慢のスイスやドイツ、日本と違い、派手好きなアメリカ人は時計のムーブメントにも豪華絢爛な装飾を始めました。
この装飾もまた美しく、ウォルサム等のアメリカ懐中時計を愛してやまない愛好家たちが多いのも納得です。
一体これがどうしてスイス時計に逆輸入されることになったのでしょうか。
と言うのも、今でこそスイス時計はその威厳と地位を復権させ、時計業界をほぼ独占しているわけですが、歴史の中でスイス時計は幾度となく窮地に立たされています。
スイスの職人技に対する、アメリカの工場ラインによる大量生産。
日本企業のクオーツ時計による「クオーツショック」。
そうやって窮地に立たされる度、スイス時計産業はそれらから「技術を吸収」し、強く成長してきました。
この「コート・ド・ジュネーブ」装飾もその一つで、アメリカ時計産業から「華やかな装飾」を吸収したわけですね。
アメリカとの戦いに打ち勝った、いわゆる戦利品といったところでしょうか。
これはパネライのケースバックですが、「コート・ド・ジュネーブ」装飾は各メーカーごとに、ラインの間隔や光り方等違いがあり、それぞれにこだわりが感じられます。
このパネライは、形は一般的なコート・ド・ジュネーブで、ポリッシュされたようなツヤっとした光り方が綺麗ですね。
これは日本のクレドール。
形状自体は一般的なコート・ド・ジュネーブですが、白みの強い感じで強く光ります。
閃く日本刀のようなギラッとした光り方です。
カッコいいですね。
こちらはIWCポルトギーゼオートマティックのケースバックです。
こちらは掘り方が独特で、斜めではなく同心円状に装飾されています。
光り方は先ほどのクレドールともパネライとも違い、サテン仕上げのような少しボヤっとした感じです。
こちらの控えめで上品な感じも非常に素敵ですね。
いかがでしたでしょうか。
「コート・ド・ジュネーブ」装飾。
これからいろんなムーブメントのいろんな装飾を目で見て感じて
文字盤のデザインやケースサイズだけでなく、ムーブメントの形や装飾の特徴までも合わせて
こだわった時計選びをしていきたいものです。
以上、アストでした。