「14才の車好き少年がモーターショーで試乗を断られガッカリ」メーカーは将来の客を失ったのか?

みなさんこんにちは、アストです。

今回は、最近ツイッターで話題になっていることに関して、お話ししてみようと思います。

 

その内容は以下の通りです。

モーターショーを楽しみにしていた14才の少年、とあるメーカーの展示車試乗列に並んでいたところ「高価な車なので小さなお子様はちょっと…」と言われ、泣く泣く試乗を諦めた。事情を聞いた父親がこの件に関してツイート。

似たような話題は自動車に限らず時計でもありますよね。「買わないと思われたのか店員からぞんざいに扱われた。」「無視された。」「接客が適当だった」云々。このようなことがあった時、意見の大多数を占めるのが「メーカーは将来の客を失った」と言うもの。

自分の大好きなものであればあるほど、その販売スタッフも同様に素晴らしいものであると思ってしまいがちです。期待が高ければ高いほど、スタッフの接客や対応、仕草や物腰なんかに目が行ってしまいます。丁寧であれば、「私が大切にしているものもまた私を大切にしてくれている」と思える一方で、ぞんざいに扱われてしまうと、「私が大切にしているものは私を大切にしてくれないのか」と、まるで恋に破れてしまったかのような大きなショックを受けてしまいます。悪いのはメーカーではなくそのスタッフであると理解は出来ても、程度によっては「二度と利用してやるものか」という気持ちになってしまうこともあると思います。

特に今回は店舗での出来事ではありません。

モーターショーと言えば、2年に1度しかない車のお祭りです。各メーカーが今持てる技術を結集した未来のコンセプトカーや、滅多にお目にかかれない現行フラッグシップモデルを、直近で見たり触ったりしながら多くの車好きが胸躍らせる。そんなイベントであったはずです。

集まる車好きは老若男女も貧富も様々です。お金の使い道に困っていて、何か車でも買おうかと下見に来たリッチマンもいるかもしれませんが、そのほとんどは憧れの車に目を輝かせる少年や、少年の心を忘れられない大人たちでしょう。まだ買えないけど、いつか自分のものにしてやるぞと日々努力している人も多いことと思います。

特に、車は誰にとっても大きな買い物です。額に汗して稼ぎ出したお金であればあるほど、自分を尊重し大切にしてくれるメーカーに対して払いたいと思うことでしょう。それこそ人の心というものではないでしょうか。

そういう意味では、そのメーカーは間違いなく、「将来の客を失った」と言えると思います。

 

しかし、世界的に有名で高い評価を得ている優良自動車メーカーが、そんなこともわからないのでしょうか?加盟ディーラーの末端従業員ならまだしも、世界的な車の祭典にスタッフとして同伴するような社員です。ブランドイメージの為にも、お客様は大切に扱うようにと教育を受けているはずではないでしょうか。

そこには、企業としての立場からやむを得ない理由があります。

企業、特に株式会社というのは、利益を上げてその利益を株主に還元する為に存在しています。つまり、利益を上げられない企業は株主から見捨てられ、市場から見捨てられ、いずれは倒産してしまうということです。

モーターショーというのは、我々消費者からすれば楽しいお祭りですが、参加している各メーカーにとっては大多数の潜在顧客に対して売り込みをかける地獄の宣伝競争なのです。大きなステージで最新コンセプトカーを動かし、美人コンパニオンを使って来場者の目を引き、自社の技術力の高さを目一杯アピールします。それにかける予算もまさに天文学的数字というやつです。出来るだけ多くの人に自社の商品を見てもらい、触ってもらい、乗ってもらい、あわよくば後日ディーラーに足を運んで貰おうということです。

 

ではどうして、14才の少年は試乗を拒否されねばならなかったのでしょうか。彼もまた大多数の潜在顧客の一人であるはずです。彼を切り捨てる理由は何だったのでしょうか。

そのメーカーは、何もフラッグシップモデルのシートを汚されたり、ドアを壊されたり、シフトレバーを折られたりする修理代や車体代が惜しいのではありません。先ほども述べましたが、メーカーはモーターショーの舞台で地獄の宣伝競争をしているのです。

仮に、その14才の少年が試乗した結果何かを壊してしまい展示車がダメになったとしましょう、この時のメーカーの損失はいくらでしょうか。車体の市場価格が2000万円とすれば、2000万円でしょうか?いやいや、原価で見れば数百万円程度だろう。そう思いますか?

いいえ違います。この場合のメーカーの損失は億単位になります。

毎回モーターショーには100万人程度の人が訪れます(東京モーターショー)。このうち半分の50万人がそのメーカーのブースに訪れ、そこから100人に1人の5000人がその試乗車に乗ったとしましょう。そのうち100人に1人の50人が購入を検討してディーラーに足を運んだとして、そこからたった5人が実際に購入するだけで、売り上げは1億円になってしまうのです。

この場合、全来場者のうちたったの0.0005%を顧客として獲得するだけで、実際に購入するかもわからない少年が作るであろう売り上げをはるかに上回ってしまうのです。詳細なデータはありませんが、試乗をきっかけに他の安価なモデルを購入するきっかけになることも考えれば、もっと多くなります。そして何より、モーターショーの舞台でメーカーのフラッグシップが試乗できないとなっては、メーカーの面目は丸つぶれです。

メーカーは、何も少年に恨みがあったわけではありません。100万人のうちたった5人を獲得すれば1億円が稼ぎ出せるという可能性と、少年が展示車をダメにしてしまい多大な損失を被る可能性を天秤にかけざるを得なかったのです。

 

いかがでしたでしょうか。

私なりに、この話題に関して意見を述べてみました。

ただ今回の騒動、開催期間中に他のブースで展示車の破損があり、メーカー側全体として展示車の扱いにピリピリしていたとの話もあり、アブノーマルな状況下であったとも考えられます。必ずしもメーカーに非があったとは言えないでしょう。

とはいえ、14才ならばもう十分にわきまえていると思いますし、ネットで炎上してしまうリスクを考えれば、メーカー側の判断はあまり良いものではなかったのではないかと、私は思ってしまいます。2年に一度のイベント、彼も楽しみにしていたでしょうし、人混みの中長い列を我慢して並んでいただろうに少々気の毒です。乗れないのであれば乗れないで、案内板を立てるなど他にできることもあったと思います。次回のモーターショーでは彼も16才、次こそは大いに楽しんでくれるといいですね。

 

以上、アストでした。

 

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