時計の寿命を飛躍的に伸ばす⁉︎ 革命的新技術、OMEGAの「コーアクシャル」とは?

via www.omegawatches.jp
皆さんこんにちは、アストです。
今回は、時計の寿命を飛躍的に伸ばす⁉︎
OMEGA自慢の技術。「コーアクシャル」についてです。
スピードマスター コーアクシャル
シーマスター コーアクシャル
デヴィル コーアクシャル etc…
最近のオメガのほとんどのモデルに見られる、この「コーアクシャル」という文字、皆様なんのことだかわかっていますでしょうか?
ただ壊れにくいだけ?
オーバーホールスパンが長くなる?
オメガだけの技術?
そんな疑問に、本日はお答えしていこうと思います。
「コーアクシャル」とは、新世代の脱進機のことです。
一般的な脱進機は、人口ルビーの爪を持つアンクルという部品と、ガンギ車という部品によって成り立っています。
ゼンマイの力を受けて回転しようとするガンギ車を、アンクルによって止めたり動かしたりしながら歯車の速度を調節することで、正確な時を刻むのです。
ちなみにこのアンクルの動きはテンプによって制御されており、このテンプの精度が悪いと時計全体に影響を及ぼします。これがテンプが時計の心臓と呼ばれる所以です。
先ほども言いましたが、ガンギ車にはゼンマイの力がかかっており、軽く動いているようで実は脱進機には大きな力がかかっています。
よって、ガンギ車の油が切れれば、摩擦によって部品の動きが止まってしまいます。
そのため、機械式時計は定期的なオーバーホールが必要なわけです。
ここにコーアクシャル脱進機と従来型の脱進機を並べてみます。
形の違いが一目でわかると思います。
歯車のようなものが一つ増えていて、アンクルの形が違いますね。
「コーアクシャル」というのはスバリ、摩擦を減らす仕組みです。
アンクルとテンプ側に爪を増やした計4つの爪によって、それぞれにかかる摩擦の大きさを分散させます。
具体的には、爪が入る動作と出る動作(入り爪と出爪)それぞれにおいて、二つの爪をかけることによって部品への摩擦を減らします。
さらに、爪を増やしてかかる力を分散させたことによって、アンクルの爪と歯車は、従来のガンギ車よりも接する範囲を小さくすることが出来るため、弾くように歯車を動かします。
これらの仕組みによって、部品への注油回数と磨耗による交換のリスクを減らし、時計の寿命を倍増させることが出来るのです。
via www.omegawatches.jp
この脱進機は、ジョージ・ダニエルズという方によって1974年に発明されました。
現代では革新的な新技術として有名ですが、当時パテックフィリップやロレックスに持ち込み営業をかけても、全く相手にしてもらえなかったそうです。
その理由は諸説ありますが、当時のコーアクシャルはとても大きかったため、既存のモデルに組み込むことができなかったからと言われています。
ジョージ・ダニエルズはそれでも負けじと独自の研究開発を進め、1990年頃コーアクシャル脱進機はほぼ現在の形になります。
そこに目をつけたのがオメガでした。
当時、他社と違って量産販売戦略を取っていたオメガは、それらにこのコーアクシャル脱進機を組み込む計画を企画し、そして見事成功させました。
記念すべき初のコーアクシャルモデルは、1995年のデヴィル コーアクシャル です。
この挑戦によってオメガは、時計業界における確固たる地位を獲得することになりました。
現在、コーアクシャルの特許は切れており、どの時計メーカーもコーアクシャルを組み込むことが出来ます。
しかし、実際にコーアクシャルを採用しているのは、未だにオメガだけです。
コーアクシャル機構は非常に高度な技術で、新たに搭載することによる時間的、金銭的コストは莫大です。
コーアクシャルの実用性が示された上、特許も切れている今に至っても広く普及しないのは、オメガの努力の賜物と言えるでしょう。
パテックもロレックスも後悔しているのではないでしょうか。
また、時計の修理スパンが伸びることは、それすなわち修理による利益が減ってしまうということを意味するので、壊れやすいのは問題ですが、莫大なコストをかけてまで必要以上に丈夫にする必要はないという考えもあるのかなぁと思います。
我々消費者的には丈夫に越したことはないので、各メーカー頑張って欲しいところではありますけどね。
それでも、ほぼ全てのモデルにこのコーアクシャルを搭載するオメガの技術力は、本当に凄いです。
いかがでしたでしょうか。
OMEGA自慢の新技術「コーアクシャル」
私も一本欲しくなってしまいました。
以上、アストでした。