どれも同じに見える?パネライの細かな違いを解説Part1「ケース編」

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みなさんこんにちは、アストです。
今回は、どれも同じに見えて分かりづらい。
パネライの細かな違いに関して解説していきたいと思います。
今回は、ケース編です。
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それでは早速いきましょう。
まずは絶対の基本。ルミノールとラジオミールの違いからです。
この違いはわかるよという方は多いのではないでしょうか?
答えからいきますが、左がルミノール、右がラジオミールですね。
リューズガードがあるのがルミノール、無いのがラジオミールです。
細かい違いは色々とありますが、とりあえずリューズガードの有無で見分けられるので、そう覚えてしまって問題ありません。
これで基本はオーケーです。それではここから細かい解説に移りたいと思います。
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まずはラジオミールからです。
こちらのモデルは現行のPam00610。ケースサイズは45mmで、ラジオミールの基本型です。
パネライのアイデンティティと言えば、このお餅のような四角いクッション型のケースですよね。
このケースが「ラジオミールケース」です。ワイヤータイプのラグと細めのベゼル、そしてリューズガードの無い円錐型のねじ込みリューズが特徴です。
この型はパネライの工房がイタリア海軍の依頼を受けて開発した試作品がベースとなっています。塊から削り出された大型のケースに、ワイヤーループを溶接した耐久性と信頼性の高い構造で、以降のパネライの原型となります。
これがパネライ絶対の基本形です。
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それでは次、行ってみましょう。
こちらはPam00572。
こちらも45mmケースのラジオミールです。さっきと比べて何かが少し変わりましたがお気づきになりますでしょうか?
こちらのケースが「1940ケース」です。ラジオミールなのでリューズガードが無いのは共通ですが、ラグがケースと一体型の太く大きなものに変化し、ベゼルが厚くなっています。リューズの形も円錐形から円筒形の大きなものへと変化しており、マッシブさが増しています。
これはパネライがイタリア海軍の更なる要求を受け、1940年に完成した「改良型ラジオミール」です。従来型ではラグはワイヤーループを溶接していましたが、1940ケースでは同じスチールの塊から削り出した一体型に進化しています。細かなパーツもアップデートされ、リューズも円錐形から円筒形に変化、耐久性と操作性を向上させました。
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そしてパネライは更なる進化を遂げます。
ルミノールの誕生です。
こちらはPam00372。パネライといったらこれ!というイメージを持っている方も多いのでは無いでしょうか。47mmケースに2針の金針を備えたパネライ王道中の王道です。
そしてこちらが「1950ケース」です。ルミノールのアイコンである大型のブリッジ型リューズプロテクターを新たに備え、ぷっくりとしたドーム型風防を囲うベゼルは1940ケースよりもさらに厚く平たくなっています。リューズもプロテクターの登場に合わせて大型化しています。
1940ケースとの大きな違いはやはりリューズプロテクターの登場と、それに伴うルミノールへの進化ですね。逆を返すと、それ以外に特段大きな違いはありません。
終戦後も技術研究を続けていたパネライは、ラジオミールで使われていた従来の蛍光物質であるラジウムに代わる、トリチウムを原料とした新たな蛍光物質「ルミノール」を開発、特許を取得します。そして新たに開発したリューズプロテクター付きのケースに実装。「ルミノール」が完成します。
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そしてルミノールは現代型へと進化します。
こちらはPam00560。44mmケースの現行ルミノールのエントリーライン。適度なサイズ感と300m防水で人気の実用モデルです。
もうわかりますね。こちらが「ルミノールケース」です。1950ケースの特徴をそのままにサイズダウン。ドーム型風防を廃して実用性を高めたのがこのケースです。
軍用時計メーカーだったパネライですが、冷戦も終わりを告げ軍拡の動きも小さくなっていった世の中で、ついに民間向けの腕時計を売り出します。それからリシュモングループ(旧ヴァンドーム)の傘下になるまでの間を「以前の」「前の」という意味を持つ「プレ」という言葉を用いて、プレ・ヴァンドームと言います。ルミノールケースを開発し、リシュモングループに入った後は民間向けの時計製造を更に加速させラインナップを拡充、デカ厚ブームの火付け役となり、今に至ります。
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ラジオミールケースと1940ケースの違いは一目で分かりますが、ルミノールケースと1950ケースの違いは正直一目では分かりません。どちらも共通のサイズがあったり似たようなモデルがあったりしてかなりややこしいです。
よってここでは、1950ケースとルミノールケースを見分ける決定的な違いを一つ追加で解説しておきます。
それはリューズプロテクターに「REG.T.M」の刻印があるかどうかです。あれば「1950ケース」無ければ「ルミノールケース」です。
これは特許表示の一種で、1950ケースのルミノールにだけ特別に刻印されています。
これは、ルミノールケースと1950ケースが入門機と上級機にクラス分けされているためです。これだけ覚えておけば怖くありません。
いかがでしたでしょうか。
分かりづらいパネライの違いを今回はケースの視点から解説しました。
他にもルミノールの派生型である「サブマーシブル」や、甲板士官用の時計であったとされる「マーレノストゥルム」等もあります。
サブマーシブルは基本がルミノールなのでルミノールケースと1950ケースの違いが同じように適用出来ます。
マーレノストゥルムは定番モデルではありませんし、特有にケース形状をしているので間違えませんね。
以上、
どれも同じに見える?パネライの細かな違いを解説Part1「ケース編」
でした。
関連記事「どれも同じに見える?パネライの細かな違いを解説Part2「文字盤、機能編」前編」
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